小学生のなりたい職業ランキングで、今年「ユーチューバー」が6位に食い込んできたという話を耳にし、私はこの国の未来に一抹の不安を覚えるようになりました。横文字に疎い年配の方にご説明いたしますと、ユーチューバーとは日本語に置き換えますと「〇職」が一番近い意味となり、つまり私のような自堕落な生活を所望する子供が増えてしまったことを意味します。私が分析するに、これは明らかに「草彅のつよぽん」の影響だと思われます。なりたい職業ランキングの発表が毎年春ごろで、『ユーチューバー 草彅チャンネル』の開設が昨年の10月29日ということを考えれば、昨年まで10位圏外だったユーチューバーが突如としてトップ10内に急上昇したことへの説明が付きます。おそらく大多数の小学生たちは元国民的アイドルという彼の肩書の重さを知らず、ただ「こんなゴミ動画でもユーチューバーとして食っていけるんだ」という誤った認識の基、アンケートに回答したのでしょう。
そういった肩書という大人のからくりを広く周知した上で、それでも彼らがどうしても魑魅魍魎のサイバー空間で勝負をしたいと言うならば、そのサイバー空間で結果を出してきた私が一つ助言を与えましょう。それは「er」ではなく「est」であれ。つまり、ユーチューバーではなく、
「ユーチュブニスト」
ナンバーワンにならなくてもいい、もっともっと特別なオンリーワンを目指して欲しいと切に願います。
さて、スピリチュアル業界では「自分=世界」というルールを根底に、現実を変えたければまずは内面を変えることが鉄則とされています。しかし、直線的に何の刺激も通さず内面だけを変えることにエゴは抵抗を感じてしまいます。ただ、そこで無理にスピ的思考に縛られて内面のみにアプローチに四苦八苦するぐらいなら、日常の習慣などを変えることにより、外側から内面の変化を促す方が近道かも知れません。
実は最近ある実業家の方と食事をご一緒する機会があったのですが、その方の成功譚がまんま上記の過程を経た潜在意識的なお話しだったので、ここにご紹介したいと思います(個人情報に配慮し、大筋を基に枝葉の部分に少し変更を加え、ドラマ仕立てにしています)。
その方は現在、複数の飲食店を経営していまして、世に言うところの勝ち組であります。しかし、どんな成功者にも下積み時代があるように、彼もその例外ではありませんでした。某レストランのシェフとして腕を振るっていた彼は、20代の後半に独立して自分の店を構えました。しかし、一国一城の主になってはみたものの当初の計画通りには客足が伸びず、人件費などのコストを差し引くと自分の手元に入ってくる利益は雀の涙ほどでした。
自然、プライベートでは節約志向となり、散髪は自分で済ませ、服を新調せず、友人の誘いも断っていたそうです。生活費には間に合うが趣味やレジャーに興じる余裕はなく、オーナーとなって羽を広げた生き方がしたいと願ったはずが、逆に身動きの取れない人生になっていました。
次第に彼は自己嫌悪に陥り、鏡を見るとあの頃描いた理想とはかけ離れたいかにも冴えない男が映っていました。そんな自分の顔を凝視するうちにふがいない現状に対する怒りが湧いていき、とうとう我慢がならなくなった彼は「こんな生活をするために店を持ったんじゃない」と開き直り、ヘアサロンに行き、服を買い、友人を誘って、欲求のままに行動するようになりました。
後先を考えず、とりあえず今を楽しむようにしました。するとほどなくして雇っていた2人のアルバイトスタッフのうち1人が店を辞め、「この際やけくそだ!」と新しくスタッフは補充せず、配膳も兼ねながら手早く作れるメニューに変更し、その分価格を下げることにしました。するとこの低価格路線がヒットし、人件費が半分になった上に客足が伸び、もう1人のスタッフがいない時でも『すき家』ばりのワンオペで何とか店を回せたのです。そこからメジャーな雑誌の取材が来たりなんかして、商売が上昇気流に乗り、あれよあれよという間に現在に至ったそうです。
これをスピ的に解釈すると、現実における習慣を変えたことで内面にさざ波が立ち、その波が世界という陸にも届いたと言えるでしょう。鬱屈した内面を開放したことで不足が薄れ、そこに充足が入り込む余地ができたのです。何のとっかかりもなく内面だけに向き合うことに抵抗がある方は、習慣の変更や断捨離など、あえて現実をトリガーとして内面を揺さぶってみてはいかがでしょう。まあ、現実的なアプローチさえも潜在意識の働きなのですが。